スペースX 現存最大能力のロケット打ち上げに成功

アメリカの宇宙うちゅう開発かいはつのベンチャー企業きぎょう「スペースX」が、現存げんぞんするなかもっと能力のうりょくおおきいロケットを試験的しけんてきげ、先端部せんたんぶぶん搭載とうさいしたくるま火星かせいけた軌道きどうせることに成功せいこうしました。


スペースXは6年後ねんご目指めざして火星かせい有人ゆうじん宇宙船うちゅうせんおく計画けいかくで、現存げんぞんするなかもっと能力のうりょくおおきいロケット「ファルコン・ヘビー」を開発かいはつしました。

ロケットは南部なんぶフロリダふろりだしゅうにあるケネディ宇宙うちゅうセンターから試験的しけんてきげられ、現地げんち時間じかんの6日午後にちごご45ふん日本にっぽん時間じかんの7日午前にちごぜん45ふん)、49年前ねんまえはじめて人類じんるい月面げつめんおくんだアポロ計画けいかくでも使つかわれた発射台はっしゃだいからちました。

このロケットは、従来じゅうらいのロケットを3たばねたかたちをしており、全長ぜんちょうは70メートル、日本にっぽんのH2Aロケットの6倍以上ばいいじょうたるおよそ64トンの物資ぶっし地球ちきゅうまわ軌道きどうはこ能力のうりょくがあります。
ロケットの先端部せんたんぶぶんには、スペースXのイーロン・マスクCEOが所有しょゆうするあか電気でんき自動車じどうしゃせられ、げからおよそ3分後ふんご、このくるま搭載とうさいした先端部せんたんぶぶんはなし、そのくるまをおよそ6かげつかけて火星かせいかう軌道きどうせることに成功せいこうしたということです。

一方いっぽうで、げに使つかわれた3のロケットのうち左右さゆうの2は、ふたた利用りようするためケープカナベラル空軍くうぐん基地きちもどして回収かいしゅう成功せいこうしましたが、大西洋たいせいようじょうふねもど予定よていだったなかの1上空じょうくうからはもどってきたもののつかっていないということです。

スペースXのマスクCEOは記者会見きしゃかいけんで「がるか心配しんぱいしたが、うまくいったとおもう。つぎ世代せだい超大型ちょうおおがたロケットもうまくいくという自信じしんつことができた」とべ、今後こんご宇宙うちゅう開発かいはつへの自信じしんしめしました。

スペースXは今後こんご超大型ちょうおおがたロケットを開発かいはつし、2024ねんには火星かせいけた有人ゆうじん飛行ひこう実現じつげんしたいとしています。


げ8分後ふんごのロケットが着陸ちゃくりく

今回こんかいげでは、ロケットの再利用さいりようのため1段目だんめけられたロケットを逆噴射ぎゃくふんしゃさせて地球ちきゅうもどらせ、無事ぶじねらった場所ばしょ垂直すいちょく着陸ちゃくりくさせることができるかどうかも注目ちゅうもくされていました。

「ファルコン・ヘビー」はげのおよそ2ふん半後はんご、1段目だんめ両側りょうがわけられた2のロケットをはなしました。2のロケットはそれぞれエンジンを逆噴射ぎゃくふんしゃさせてきをえ、地上ちじょうけて降下こうか
機体きたいけられた4つの羽根はねひろげて大気圏たいきけんなか空気くうきちから姿勢しせい安定あんていさせながら高度こうどげ、げのおよそ8分後ふんご、ほぼ同時どうじ地上ちじょう着陸ちゃくりくすることに成功せいこうしました。


再利用さいりようでコスト削減さくげん

スペースXは、使つかてが常識じょうしきだったロケットを再利用さいりようすることで、膨大ぼうだいなコストの削減さくげん実現じつげんしてきました。

2015ねん12がつ一度いちどげたロケットを地上ちじょうもどして回収かいしゅうするのにはじめて成功せいこうしたのにつづき、おととし4がつにはうみかぶふねうえ着地ちゃくちさせて回収かいしゅうするのに成功せいこうしました。

ロケットをねらったところにもどして回収かいしゅうするのはきわめて制御せいぎょむずかしいとされてきましたが、スペースXはそのげでも回収かいしゅうつづけ、実績じっせきかさねてきました。

さらに、去年きょねんがつには回収かいしゅうしたロケットを再利用さいりようしたげにも成功せいこうし、宇宙うちゅう航空こうくう業界ぎょうかい常識じょうしき次々つぎつぎえてきました。

今回こんかいげられた「ファルコン・ヘビー」は、3あるうちの両側りょうがわの2のロケットは再利用さいりようされており、スペースXでは、ほかのロケットの3ふんの1の費用ひようで2ばい物資ぶっしはこぶことができるとしています。

げにかかる費用ひようは、日本にっぽんのH2Bロケットよりもやすいおよそ9000まんドル(日本円にほんえんでおよそ100億円おくえん)だということです。


エンジンのクラスター再利用さいりよう

スペースXによりますと、火星かせい目指めざす「ファルコン・ヘビー」のげコストは、日本円にほんえんでおよそ100億円おくえん日本にっぽん主力しゅりょくロケット「H2A」のげコストとほぼおな費用ひようで、H2Aの6倍以上ばいいじょう能力のうりょくつ、きわめてコストパフォーマンスにすぐれたロケットになっています。

その理由りゆうひとつがエンジンの「クラスター」です。
強力きょうりょく能力のうりょく実現じつげんするために、大型おおがたのエンジンをあらたに開発かいはつすれば、ばくだい開発費かいはつひようがかかります。このためスペースXは、小型こがたのエンジンをいくつもわせるというぎゃく発想はっそうをしました。

この小型こがたエンジンは、スペースXの複数ふくすうのタイプのロケットに幅広はばひろ使つかわれ、大量たいりょう生産せいさんによるコストダウンが可能かのうです。

ファルコン・ヘビーでも、3のロケットにそれぞれ9ずつわせて27小型こがたエンジンがまれていて、これによって世界せかい最大さいだい能力のうりょく実現じつげんしたのです。

ふたつ理由りゆうは「再利用さいりよう」の技術ぎじゅつです。
スペースXは、2015ねん世界せかいはじめて、衛星えいせいせていったんげたロケットを逆噴射ぎゃくふんしゃによって、ふたた地上ちじょう着陸ちゃくりくさせることに成功せいこうしました。また回収かいしゅうしたロケットを再度さいどげることにも成功せいこうしています。

ロケットをかえ利用りようすることによって、げコストを将来的しょうらいてきには従来じゅうらい使つかてロケットの100ふんの1にすることを目指めざしています。


宇宙船うちゅうせん地球上ちきゅうじょう短時間たんじかん移動いどう

スペースXは、将来しょうらい火星かせいへの有人ゆうじん飛行ひこうおこなうために開発かいはつすすめている超大型ちょうおおがたのロケットを使つかえば、宇宙うちゅう空間くうかん移動いどうすることで地球上ちきゅうじょうのあらゆる都市としあいだを、およそ30ぷん移動いどうできる宇宙船うちゅうせん実現じつげんできるとしています。

スペースXによりますと、乗客じょうきゃくんだ宇宙船うちゅうせんをロケットでげ、宇宙うちゅう空間くうかん最高さいこう時速じそくまん7000キロで移動いどうすることで、たとえば、ニューヨークから上海しゃんはいへ39ふん東京とうきょうからロサンゼルスへ32ふん、ニューヨークからパリへ30ぷんなど、地球上ちきゅうじょうのあらゆる都市としあいだをおよそ30ぷん移動いどうできるようになるとしています。

超大型ちょうおおがたロケットによる火星かせいへの有人ゆうじん宇宙船うちゅうせんげは、2024ねんおこな計画けいかくで、このロケットを利用りようした地球上ちきゅうじょうでの移動いどうちか将来しょうらい航空機こうくうきのエコノミークラスの正規せいき料金りょうきん程度ていど実現じつげんさせたいとしています。


日本にっぽん再使用さいしようロケット計画けいかく

日本にっぽんでも、ロケットの再使用さいしようけ、実験機じっけんき使つかった実証じっしょう実験じっけんが、現在げんざいのJAXA=宇宙うちゅう航空こうくう研究けんきゅう開発かいはつ機構きこう宇宙科学研究所うちゅうかがくけんきゅうじょで1999ねんから4ねんかんおこなわれたことがあります。

この実験機じっけんきは「RVT」とばれるえんすいけいのロケットでたかさ3.5メートル、直径ちょっけい2メートルあまり、ロケットエンジン1最大さいだい42メートルのたかさまで上昇じょうしょうし、その推力すいりょくとして、地上ちじょう軟着陸なんちゃくりくする実験じっけんかえおこなわれました。

ロケットエンジンは、通常つうじょう大気圏たいきけんるのに必要ひつよう加速かそくるため一度いちどだけの使つかてですが、かえ使つかえるロケットエンジンの開発かいはつのための知見ちけんあつめていたということです。

しかし、当時とうじ宇宙科学研究所うちゅうかがくけんきゅうじょ所属しょぞくし、再使用さいしようロケットの研究けんきゅうをしていたたなつぎ亘弘のぶひろ室蘭工業大学むろらんこうぎょうだいがく名誉教授めいよきょうじゅによりますと、再使用さいしようがたのロケットは開発費かいはつひおおくかかり、需要じゅようがあるかどうかわからなかったうえ、技術的ぎじゅつてきにもむずかしかったことから、2003ねん最後さいご実験機じっけんき使つかった実証じっしょう実験じっけんおこなわれなくなったということです。

一方いっぽう、スペースXがロケットをふたた使つか計画けいかく発表はっぴょうし、次々つぎつぎ実験じっけんはじめたのは、2012ねん内閣府ないかくふによりますと、こうしたうごきなどをけて日本にっぽんでも宇宙うちゅう政策せいさくめる2014ねん宇宙うちゅう政策せいさく委員会いいんかいで、次期じき基幹きかんロケット「H3」のさらにつぎる2030年以降ねんいこうのロケットを検討けんとうするなかで、再使用さいしようがた選択肢せんたくしひとつとして研究けんきゅうするべきという見解けんかいがまとまったということです。

その1年後ねんごの2015ねん、スペースXは人工じんこう衛星えいせい搭載とうさいした「ファルコン9」の1段目だんめのロケットを逆噴射ぎゃくふんしゃさせ、地球ちきゅうもどらせて陸上りくじょう着陸ちゃくりくさせるはなわざげました。

内閣府ないかくふによりますと、こうした成功せいこうなどをけて、日本にっぽんでも具体的ぐたいてき研究けんきゅう加速かそくさせることになり、あたらしい実験機じっけんき製造せいぞうして来年らいねんにもふたた実証じっしょう実験じっけんのぞむことにしています。

内閣府ないかくふ宇宙うちゅう開発かいはつ戦略せんりゃく推進すいしん事務局じむきょく高倉たかくら秀和ひでかず参事官さんじかんは「次期じき基幹きかんロケット『H3』の開発かいはつすすめるとともに、2030年以降ねんいこうつぎのロケットのシステムのひとつとして再使用さいしようがた検討けんとうしている。スペースXがおおきく先行せんこうしているほか、ヨーロッパやアジアでも研究けんきゅうすすんでいるので、日本にっぽん出遅でおくれないようしっかりと研究けんきゅうすすめたい」とはなしています。

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