悪質クレーム 流通業で働く人の7割が経験 初の実態調査

スーパーマーケットや百貨店ひゃっかてんなど流通業りゅうつうぎょうかいはたらひとの70%がきゃくから暴言ぼうげん説教せっきょうといった悪質あくしつなクレームなどをけた経験けいけんがあると回答かいとうしたことが労働ろうどう組合くみあいはじめてった実態じったい調査ちょうさでわかりました。組合側くみあいがわは「ここまで大変たいへんおもいをしているのかとおどろいた。たびえたクレームにたいしては毅然きぜん(きぜん)とした対応たいおうるようもとめていきたい」としています。


悪質クレーム 流通業で働く人の7割が経験 初の実態調査

この調査ちょうさはスーパーマーケットや百貨店ひゃっかてん、コンビニエンスストアといった流通業りゅうつうぎょうかいはたらひとなどの労働ろうどう組合くみあいつくるUAゼンセンが、ことし6がつから7がつにかけてはじめてったもので、全国ぜんこく組合員くみあいいん万人まんにんあまりから回答かいとうました。

それによりますと、仕事中しごとちゅうきゃくから悪質あくしつなクレームなどの迷惑めいわく行為こういけたことがあると回答かいとうしたひとは3まん6000にん全体ぜんたいの70%にのぼりました。

迷惑めいわく行為こうい内容ないようについて複数ふくすう回答かいとうたずねたところ、回答かいとうしたひとのうち、「暴言ぼうげん」が49%の2まん4100にん、「おな内容ないようかえす」が29%の1まん4200にん、「説教せっきょうなど権威的けんいてき態度たいど」が27%の1まん3300にんで、「セクシュアルハラスメントをけた」というひともおよそ10%の4900にんいました。

また、心身しんしんへの影響えいきょうについてたずねたところ、回答かいとうしたひとのうち90%ちかい3まん3400にんが「ストレスをかんじた」と回答かいとうし、「精神せいしん疾患しっかんになった」とこたえたひとも359にんいました。

なかには「2時間じかんにわたって正座せいざさせられ片方かたほうみみこえなくなった」という男性だんせいや、「きゃくからうで何度なんどむねをつつかれ、上司じょうし報告ほうこくしたが、『だいごとになる』と対応たいおうしてもらえず、体調たいちょうくずして精神せいしん疾患しっかんになった。わたし人権じんけんはないのか」とつづった女性じょせいもいました。

UAゼンセン流通りゅうつう部門ぶもん安藤あんどう賢太けんた社会政策しゃかいせいさく部長ぶちょうは「流通業りゅうつうぎょうかいきゃく対面たいめんしてせっする機会きかいおおく、長年ながねん、『お客様きゃくさま神様かみさまだ』とわれてきたが、現場げんばはここまで大変たいへんおもいをしているのかとおどろいた。良心的りょうしんてききゃくがほとんどだが、たびえたクレームにたいしては毅然きぜん(きぜん)とした対応たいおうるよう企業きぎょう要請ようせいするとともにくにたいしても法整備ほうせいびなどももとめていきたい」としています。


悪質クレーム 流通業で働く人の7割が経験 初の実態調査

関東地方かんとうちほうのスーパーマーケットでことし9がつまではたらいていた40だい女性じょせいは、今回こんかい調査ちょうさでクレームなどの迷惑めいわく行為こういで「つよいストレスをかんじた」と回答かいとうしました。

女性じょせい去年きょねんみせ中年ちゅうねん男性客だんせいきゃくから「SNSにむ」とおどされたといいます。このみせでは一定額いっていがく以上いじょうものをしたきゃく抽選ちゅうせん景品けいひんをプレゼントするキャンペーンをしていましたが、きゃくあたえられた回数かいすうえても「自分じぶんはこのみせ上客じょうきゃくで、毎日まいにちたくさんものをしているので特別とくべつにやらせろ」ともとめてきたということです。

女性じょせいことわったところ、きゃく大声おおごえで「いてくれないならインターネットの掲示板けいじばん個人名こじんめいして投稿とうこうすることもできるんだ」とおどしてきたということです。やりりは1時間じかんほどにわたってつづき、女性じょせいは「大声おおごえされ、心臓しんぞうがどきどきしてふるえて、なにかされるんではないかとこわかった。『あんたなんて簡単かんたんにやめさせることができるんだ』とわれ、本当ほんとうにこのさき仕事しごとができなくなるのではないかとかんじた」とはなしました。

女性じょせいはその1かげつほどのあいだ、この掲示板けいじばん毎日まいにち自分じぶんのことがまれていないかおびえる日々ひびつづいたということで、「ひまさえあれば携帯けいたいていた。つねにクレームのことがあたまにあった。自分じぶん名前なまえかれて家族かぞくにもなにかあったらとわる方向ほうこうわる方向ほうこうにとかんがえていた」とかえりました。女性じょせいは「現状げんじょうでは店員てんいん寝入ねいりせざるをえない。店員てんいんかんじている恐怖きょうふってほしいし、わたしたちもある程度ていどまもられるようにわってほしいです」とはなしていました。


悪質クレーム 流通業で働く人の7割が経験 初の実態調査

また、関東地方かんとうちほうべつのスーパーマーケットで人事じんじ担当者たんとうしゃとしてはたらく50だい女性じょせいは、同僚どうりょうで20ねんほどつとめてきたベテランの女性じょせい従業員じゅうぎょういんきゃくからのクレームをきっかけに去年きょねん仕事しごとめたといいます。

女性じょせいによりますと同僚どうりょう中年ちゅうねん男性客だんせいきゃくからクレジットカードをさい片手かたてったところ「無礼ぶれいだ」といかられ、さらに「そんな無礼ぶれいなことをする店員てんいんだからカードの個人こじん情報じょうほうったのではないか」とおよそ2時間じかんにわたって大声おおごえ抗議こうぎつづけたということです。

この対応たいおう一緒いっしょにあたったという女性じょせいは「男性客だんせいきゃくはフロアちゅうこえるような大声おおごえでどなっていた。同僚どうりょうは、ほか店員てんいん見本みほんとなってはたらいてきた自負じふがあったとおもうが、みんなのまえ罵倒ばとうされいていた。そのも『またおなきゃくたらこわい』とかんじている様子ようすだった」とはなしていました。同僚どうりょうはこの2か月後げつご一身上いっしんじょう都合つごう」を理由りゆう退職たいしょくしたということです。

女性じょせいは「『大丈夫だいじょうぶ大丈夫だいじょうぶ』と同僚どうりょうこえをかけてきたが、もっとフォローしてあげればよかったといまでも後悔こうかいしている。ただでさえ人手ひとで不足ぶそくなのにベテランがいなくなった代償だいしょうおおきい」とはなしたうえで、「むかしは『きゃく従業員じゅうぎょういんそだてる』とわれてきたが、いまわってしまった。従業員じゅうぎょういんも1にん人間にんげんなのでおきゃくさんも節度せつどってせっしてほしい」とはなしていました。


被害ひがいうった続々ぞくぞく

はつ実態じったい調査ちょうさったUAゼンセンによりますと、回答者かいとうしゃかず当初とうしょは2万人まんにんほどと見込みこみ、ことし8がつごろに結果けっかをまとめる予定よていでしたが、アンケートにこたえたいという組合員くみあいいん相次あいつぎ、想定そうていばいえる5まん878にんから回答かいとうせられたということです。

また、迷惑めいわく行為こうい内容ないようしる自由じゆう記述きじゅつらんにみずからがけた被害ひがい詳細しょうさいいたひともおよそ2万人まんにんのぼりました。なかには「ポイントカードの入力にゅうりょく間違まちがえたスタッフが土下座どげざをさせられ犯罪者はんざいしゃばわりされた」とか「きゃく勘違かんちがいで購入こうにゅうした商品しょうひん間違まちがえたのに『みせ説明せつめい不足ぶそくだ』と自宅じたくされ、返金へんきん要求ようきゅうされた。深夜しんやまでおよそ10時間じかんにわたって拘束こうそくされた」、「っているきゃくから横腹よこばらなぐられた」といった記述きじゅつがありました。


専門家せんもんか「サービスのかた再考さいこうを」

消費者しょうひしゃ心理しんり専門せんもんでクレームの問題もんだいくわしい関西大学かんさいだいがく社会しゃかい学部がくぶ池内いけうち裕美ひろみ教授きょうじゅは、今回こんかい調査ちょうさについて、「回答かいとうした人数にんずうおおさに本当ほんとうおどろいた。クレームに対応たいおうするがわ苦労くろうなどについて調しらべたここまでの大規模だいきぼ調査ちょうさはおそらくはじめてではないか。回答数かいとうすうおおさはだれかにうったえて改善かいぜんしてもらえるのでないかという期待きたいたかさをあらわしているとおもう」とはなしています。

また結果けっかについては、「70%のひと悪質あくしつなクレームをけたとしているが、けたと回答かいとうしなかった30%のひとなかにもそれにちか経験けいけんをしたひとはいるのではないかとおもう」としています。さらに「むかしだったら見過みすごされたささいなことに消費者しょうひしゃがすぐ苦情くじょううようになるなど寛容かんよう社会しゃかい背景はいけいにあるのではないか。インターネットで苦情くじょうがあっという拡散かくさんされるなかになったことで、企業側きぎょうがわが『不快感ふかいかんあたえないように』と過剰かじょうなサービスにおちいっている。それにれた消費者しょうひしゃもとめるサービスの基準きじゅんがりそれがより悪質あくしつなクレームをいやすくしているという循環じゅんかんができているとおもう」と指摘してきしています。

池内いけうち教授きょうじゅ企業きぎょうのコールセンターでクレーム対応たいおうたるひと調査ちょうさったところ、60だいや70だいひと悪質あくしつなクレームをひとえてきているということです。

池内いけうち教授きょうじゅはその原因げんいんとして「体力たいりょく気力きりょくともに元気げんきなのに年齢ねんれいにより会社かいしゃなどをリタイアせざるをないひと社会しゃかいとつながる方法ほうほうの1つとして悪質あくしつなクレームをうケースがえているとおもう。とく自分自身じぶんじしんつとめていた業種ぎょうしゅひと苦情くじょううような『世直よなおがた』の苦情くじょうえているようにおもう」と分析ぶんせきしています。

そのうえで「『おもてなし』の言葉ことば象徴しょうちょうされるように日本にっぽんたかいサービスを提供ていきょうすることが美徳びとくだったが、流通りゅうつうサービスさーびすぎょう人手ひとで不足ぶそく指摘してきされるいま、過剰かじょうともいえるサービスのかた再考さいこうする時期じきているのではないか」とはなしていました。

イージー・ニュース

スーパーなどではたらひとの70%がきゃく迷惑めいわく行動こうどうをされた