イグ・ノーベル賞 雌雄逆の昆虫発見 日本人研究者に生物学賞

2017年09月15日 11時15分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式がアメリカのハーバード大学で行われ、メスにオスのような生殖器がある昆虫を発見した北海道大学などの研究者が「生物学賞」に選ばれ、日本人の受賞は11年連続となりました。

「イグ・ノーベル賞」は、1991年にノーベル賞のパロディーとしてアメリカの科学雑誌が始めた賞で14日、ハーバード大学で、授賞式が行われました。

このうち、「生物学賞」は北海道大学の吉澤和徳准教授と、慶応大学の上村佳孝准教授らが受賞し、日本人は11年連続の受賞となりました。

吉澤准教授らは、ブラジルの洞窟で、メス側の生殖器が伸縮可能な形で、オスの腹部に差し込まれる「チャタテムシ」の仲間の昆虫を発見しました。

この昆虫は、メスがオスの腹部から精子を受け取って生殖するということで、性の違いを考えるのに重要な示唆を与えるとされています。

研究内容が発表されると、会場は困惑した雰囲気になりましたが、吉澤准教授らが「世界中の辞書には、男性の生殖器は男性のものと書かれていますが、私たちの発見によってすべて時代遅れになりました」と話すビデオメッセージが紹介されると、笑いと拍手に包まれました。

会場で研究内容を聞いていた女性は、「私の友人にも性の区別を超えて生きている人がいるので、興味深い研究だと思いました」などと話していました。

吉澤准教授「ほとんど見向きもしなかった」

北海道大学の吉澤和徳准教授が研究対象としたのは、「チャタテムシ」。私たちの家の中でも見つけることができるごくありふれた昆虫のため、ほかの研究者は、ほとんど見向きもしなかったといいます。

吉澤さんは「自分は、チャタテムシ研究の第一人者と思っているが、それは、日本で研究しているのは、私ぐらいしかいないためで世界的に見ても数人しかいないのでは」と話しています。

このため吉澤さんが研究をスタートさせると国内外から新種のチャタテムシを次々と発見することができたといいます。中でも光が届かず、餌もわずかしかないため生物が独自の進化を遂げる可能性がある洞窟に着目したところオスとメスの生殖器の逆転という世界的にも例がない研究成果にたどりつけたということです。

今回の授賞式も九州地方の洞窟での調査があり出席できなかったという吉澤准教授は「とても著名な賞ですし、すごくうれしく思いました。われわれの感じている性の差がどうして生じたのか、わかっていない部分も多いのでこれからも研究を進めたい」と話しています。

九州大学 丸山准教授「とても大きな発見」

分類学に詳しい九州大学の丸山宗利准教授は「今回の発見は緻密な形態の観察があってこその成果で、性の差という生物学の重要な問題を考えるうえでとても大きな発見だ。形態をもとにした分類学はなかなか日の目を見ない学問だが、現在大きく報道されているヒアリのような問題も、ヒアリがほかのアリと形態的にきちんと区別できることが重要であり、分類学のさまざまな積み重ねがあって初めてそれが可能になっていることを多くの人に知ってほしい」と話しています。

日本からの受賞11年連続「すごいことだと思う」

イグ・ノーベル賞を主催しているマーク・エイブラハムズさんは、日本からの受賞が11年続いていることについて「日本は、世界中が必要としている電気製品や自動車を作ってきたように、イグ・ノーベル賞受賞者を生み出す方法を見つけ出したのではないか。世界がどう思っているかはわからないが、私はすごいことだと思う。日本の研究者がほかのものをコピーするのではなく、独自の新しいものを考えていることを示していると思う」と評価しています。

そのうえで、日本の研究者へのメッセージとして「純粋に新しいことを試したいと考えるのはすばらしいことで、それが笑える内容ならば、なおのことすばらしい。ずっと続けていってほしい」と話しています。

受賞したほかの研究は

イグ・ノーベル賞は、「人を笑わせ、そして考えさせる」、独創的でユニークな研究をたたえるもので10の部門に贈られました。

このうち、「平和賞」は、オーストラリアの先住民アボリジニの木管楽器を日常的に演奏することが睡眠時無呼吸症候群やひどいいびきの改善に役立つかどうかを調べたスイスやカナダなどの研究グループに贈られました。

「経済学賞」は、ワニと接触することで、ギャンブルにのめり込む度合いがどう変わるのかを実験したオーストラリアなどの研究者が受賞しています。

自然科学の部門では、「解剖学賞」を、なぜ年配の男性は耳が大きいのかを医学的に調べたイギリスの研究者、「医学賞」をチーズが嫌いな人がチーズをどれくらい嫌がっているかを最新のMRIを使って脳内の様子を調べたフランスなどの研究グループ、「認識賞」を一卵性双生児の多くは、写真では自分たちを見分けられないことを明らかにしたイタリアなどの研究グループが受賞しています。


さらに、アジアからは日本以外に韓国の研究者が、コーヒーの入ったカップを持って後ろ向きに歩いたときにコーヒーがどのように波打つかを解析した研究で「流体力学賞」を受賞しました。

※プログラムでふりがなをけっているので、 間違まちがっている場合ばあ いもあります。