水俣条約きょう発効 水銀製品の取り引きなど規制

2017年08月16日 04時42分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

水俣病の原因となった水銀による健康被害を防ぐため、一定量以上の水銀を使った製品の取り引きなどを国際的に規制する「水俣条約」が16日発効しました。

「水俣条約」は水俣病の原因となった水銀による健康被害や環境汚染を防ぐため、日本が主導して、4年前に熊本県で開かれた国連の会議で採択されたもので、これまでに世界の50か国以上が締結し、16日発効しました。条約では新しい鉱山からの水銀の産出が禁止されるほか、2020年までに一定量以上の水銀を使った電池や蛍光灯などの製品の製造や輸出入が原則禁止されます。

これを受けて日本でも水銀を含む製品の輸出が原則できなくなるほか、一定量以上の水銀を使った製品の製造については水俣病の深刻な被害を経験した国として、条約が定める2020年よりも前倒しして来年から順次禁止されるなど、対策が強化されます。また今も発展途上国を中心に水銀を含む製品が適切に処理されず環境汚染などが引き起こされていることから、条約には適切な処理を行うための人材育成や施設整備を資金面で支援する制度を作ることも盛り込まれています。

来月24日からはスイスのジュネーブで締約国による初めての会合が開かれ、水銀の適切な処理を進めるための技術や支援の在り方などが話し合われるほか、水俣病の患者が参加し、水銀が引き起こす病気のおそろしさなどについて発表することになっています。

水俣病患者「世界の教訓に」

水俣病の患者で、語り部の活動をしている緒方正実さんは4年前に熊本県で開かれ水俣条約を採択した国連の会議で講演し、水俣病の経験を世界の水銀汚染の防止に生かすよう訴えました。
水俣条約の発効について緒方さんは「水俣病で苦しむ多くの人たちの思いを世界の教訓として残せてよかったと思います。被害者として、水俣病を悲惨な出来事として終わらせるのではなく、次の時代に生きる子どもたちのためにこれからも伝え続けていかなければならないと感じています」と話していました。

中川環境相「水銀対策推進にリーダーシップ」

水俣条約の発効について中川環境大臣は15日の閣議の後の記者会見で「世界各国が協調して水銀による環境や健康へのリスクを削減しようとする大変意義深い条約で、発効に至ったことを喜ばしく思う」と述べました。そのうえで「国内の対策を着実に実施するとともに世界各国と連携して水銀対策を推進すべくリーダーシップを発揮していく」と述べ、国内での対策に加え、発展途上国に対する技術支援なども積極的に行う考えを示しました。

途上国では適切な管理されず水銀使用

水俣条約で取り引きが規制される水銀は先進国では使用量が減っていますが、途上国では依然、適切な管理がされないままさまざまな用途に利用されています。

水銀の大気への最大の排出源となっているのがアジアやアフリカ、南米などで広く行われている水銀を使った金の採掘です。鉱山で採取した砂や鉱石に水銀を混ぜて合金にし、加熱して水銀を蒸発させると金だけを取り出すことができます。

UNEP=国連環境計画の報告書によりますと、水銀の大気への排出量の37%を占めると推定されています。
タイ中部ピチット県の採掘場でもこの方法で金の採取が行われ、タイ政府の去年の調査ではここで金の採掘に関わる住民48人のうち6人の毛髪から神経症状が出る可能性のある目安とされる50ppmを超える濃度の水銀が検出されました。
住民によりますと、水銀は数グラム単位に小分けされたものを金の仲買人から購入していて、政府による規制は特にないということです。

水俣条約はこうした小規模な金の採掘での水銀の使用を減らす対策を加盟国に求めていますが、ほかに金を取り出すための簡単な方法がないことから住民の反発も予想されます。

タイの天然資源環境省公害規制局のジャトゥポーン局長は「急に水銀の使用を止めれば問題が起きるだろう。住民に別の仕事を与えるか、水銀以外の技術を見つける必要がある」と話しています。

※プログラムでふりがなをけっているので、 間違まちがっている場合ばあ いもあります。