トランプ政権半年 ロシア疑惑など政権運営安定せず

2017年07月20日 06時30分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

アメリカのトランプ大統領が就任してから20日で半年となります。トランプ大統領はアメリカ第一主義を掲げ貿易不均衡の是正などを目指していますが、ロシアとの関係をめぐる疑惑が絶えず政権運営は安定しないままです。

トランプ大統領がことし1月20日に就任してから今月20日で半年となります。トランプ大統領は引き続きアメリカ第一主義を掲げ雇用の確保に向けて貿易協定の見直しなど貿易不均衡の是正を目指しているほか、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から脱退すると表明するなど公約の実現を図っています。

しかし、自由貿易や温暖化対策をめぐっては国際社会で孤立を深めているほか、オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアの見直しは議会で野党・民主党に加え与党・共和党内からも反対意見が出て実現していません。

また、議会の承認が必要な560余りの主要な高官ポストのうち、トランプ政権で承認されたのはおよそ50人にとどまっていて、歴代政権と比べ大幅に遅れています。

さらに去年の大統領選挙中にトランプ大統領の長男がロシア人の弁護士と面会していたことが明らかになるなど、トランプ陣営とロシアとの関係をめぐる疑惑が絶えず、議会の調査や特別検察官による捜査が続いていて、就任から半年がたっても政権運営は安定しないままです。

支持率は40%前後で推移

アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、各種の世論調査のトランプ大統領の支持率の平均値は就任当初のことし1月、およそ44%でした。その後、上がったり下がったりを繰り返しながら、5月中旬以降は40%前後で推移していて、第2次世界大戦後の歴代大統領の中で最も低い水準となっています。

支持率の低下には去年の大統領選挙でのトランプ陣営とロシアとの関係をめぐる疑惑や、オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアの見直しに向けた動きなどが影響しているものと見られています。

ただ、世論調査によって支持率に差があるほか、トランプ政権は「大統領選挙の時もそうだったが、メディアによって不正確な調査がある」などと主張しています。

また、共和党支持層の間では80%程度がトランプ大統領を支持している状況に大きな変化はなく、底堅さも見せています。

次々と大統領令も…

トランプ大統領は就任当初から次々と大統領令に署名し、オバマ前政権からの政策転換を目指す姿勢を前面に打ち出すとともに大統領選挙で掲げた公約の実現を図ろうとしてきました。

このうちテロ対策のためとして出した中東やアフリカからの入国を制限する大統領令は人種差別的で憲法違反だと批判を受け、連邦地方裁判所の判断で執行が停止されました。しかし、連邦最高裁判所がトランプ政権の不服申し立てを部分的に認め、アメリカに家族が住む人などを除くという条件付きで執行されました。

また、トランプ大統領は先月、「国民との約束を守る」として地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」からの脱退を表明しました。トランプ大統領としてはアメリカ第一主義のもと環境問題よりも経済成長や雇用創出を優先する姿勢を鮮明にする狙いがあるものと見られますが、各国から批判が相次いだほか、アメリカ国内の企業などからも反発が出ています。

一方、トランプ大統領はオバマ前政権が事実上の国民皆保険を目指して導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアを見直すことを公約に掲げ、大統領令で指示したものの、オバマケアを撤廃し別の制度にかえる法案は成立していません。議会下院ではことし5月に法案が可決されたものの、上院では野党・民主党だけでなく与党・共和党の一部からも反対意見が出ていて、共和党の指導部は来週にも撤廃法案を採決したい考えですが、可決は困難と見られています。
これについてトランプ大統領は「失望している」などと述べ、不満をあらわにしています。

さらにトランプ大統領が不法移民対策として計画しているメキシコとの国境沿いの壁の建設は議会で予算が認められておらず、進んでいません。

高官人事は大幅に遅れる

政権発足から半年となりますが、トランプ政権の高官の人事は大幅に遅れています。

政権の人事についてまとめている市民団体によりますと、トランプ政権で議会の承認が必要な560余りの主要な高官ポストのうち、今月17日の時点で承認されたのは1割以下の49人にとどまっています。同じ時期の状況を歴代政権と比較すると、オバマ政権は203人、ブッシュ政権は185人、クリントン政権が206人で、トランプ政権の人事の遅れが目立ちます。

トランプ政権は野党・民主党が議会での審議に時間をかけて人事を妨害しているといらだちを強めていて、今月10日、声明を発表し、「民主党は国民の意に反して、前例のない妨害を行い、政府に損害を与えている」と激しく非難しています。

一方、政治専門サイト「ポリティコ」は、ホワイトハウスが大統領選挙でトランプ大統領を批判した人材の起用を拒否していることなどに不満を抱いたティラーソン国務長官が先月、ホワイトハウスに乗り込み人事を担当する高官と激しい口論になったと伝えました。
ティラーソン長官は記者団に「人事をもっと早く進めたい」と話すなど、懸念を示していて、人事の遅れが続けば、政権内部から不満が噴出することも予想されます。

ロシア疑惑 捜査の行方に大きな関心

この半年間、トランプ大統領の政権運営に影響を与えてきたいわゆる「ロシア疑惑」では去年の大統領選挙への干渉を巡りトランプ陣営とロシアの間に共謀があったのかどうか、またこの問題の捜査でトランプ大統領による司法妨害があったのかどうかに大きな関心が集まっています。

アメリカの情報機関はことし1月に公表した分析結果で、プーチン大統領の指示のもとロシアがトランプ大統領の誕生を狙って民主党のクリントン氏に対しサイバー攻撃などによる大規模な妨害活動を展開していたと断定。その後、トランプ陣営の幹部が選挙期間中にロシア側と接触していたことが次々に明らかになり、FBI=連邦捜査局も捜査に乗り出しました。

この問題ではトランプ大統領の長男のジュニア氏がロシア側から情報の提供をもちかけられロシア人の弁護士と面会していたことが明らかになっています。また、大統領の娘婿のクシュナー氏もロシアの銀行家と接触したり、ロシア側に秘密の連絡ルートの設置を提案していたなどと報じられていて、大統領選挙への干渉を巡りトランプ陣営とロシアの間に共謀があったのかどうかという疑惑の解明が大きな焦点となっています。

またトランプ大統領が疑惑をめぐる捜査を指揮していたFBIのコミー前長官を突然、解任し、その後、コミー前長官が議会でトランプ大統領から捜査中止の指示と受け止められる発言があったと証言したことから、大統領による司法妨害があったのかについても捜査の対象になっていると見られています。

これらの疑惑を巡っては独立して捜査にあたる特別検察官に任命された元FBI長官のモラー氏が事実関係の解明にあたっていて、その捜査の行方に大きな関心が集まっています。

専門家「どうすれば大統領になれるか学んでいる状態」

ジョージ・ワシントン大学でアメリカ政治が専門のマイケル・コーエン准教授はトランプ大統領の就任から半年について、中東など6か国の人の入国を制限する大統領令を条件付きで執行させたことやシリアのアサド政権への軍事攻撃を挙げ、一定の成果はあったとの見方を示しました。

一方で、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアの見直しや、税制改革、それにメキシコとの国境沿いの壁の建設などは実現の見通しが立っていないとして「トランプ氏は『大統領選挙に勝利すること』と『大統領であること』の違いを理解していない。いまだに『どうすれば大統領になれるのか』学んでいる状態だ」と指摘しました。

そしてABCテレビなどの世論調査で、支持率が戦後最低の36%にとどまったことについて「いまは共和党支持者のおよそ80%が大統領を支持している。しかし、『ロシア疑惑』などのスキャンダルが続き、これが50%台に下がれば、全体の支持率は20%台後半になる。そうなると大問題だ」と述べ、共和党支持者のトランプ離れが進めば、打撃は大きいと指摘しました。

ただ、トランプ大統領の長男がロシア人の弁護士と面会していたことなどをめぐり大統領の弾劾を求める声が一部であがっていることについては「あくまで長男の問題であり、大統領本人が弾劾の対象になることは考えにくい」と述べ、現時点では、弾劾手続きに至る可能性は低いとの見方を示しました。

※プログラムでふりがなをけっているので、 間違まちがっている場合ばあ いもあります。