IOC=国際オリンピック委員会は、11日、スイスで臨時総会を開き、東京オリンピック後の2024年と28年の夏の大会について24年の開催都市に立候補しているフランスのパリと、アメリカのロサンゼルスとの調整がまとまれば、9月の総会で2大会の開催都市を同時に決定することを決めました。


IOCでは、オリンピックの開催都市に立候補した都市が巨額の開催費用などを理由に撤退するケースが相次いでいることに危機感を持ち、選考方法の見直しを進めてきました。11日にスイスで開かれた臨時総会では東京大会後の2024年と28年の2つの大会の開催都市を同時に決める異例の措置について話し合われました。

その結果、現在、開催都市に立候補しているのはパリとロサンゼルスだけで、IOCとこの2都市との調整がまとまれば9月の総会で、2大会の開催都市を同時に決定することが提案され全会一致で承認されました。

また、オリンピック憲章では、特別な事情がなければ開催都市の選定は7年前に行うと定められていますが、今回は、特別な事情に値するとして憲章の改訂は行わないことも確認されました。

一方、調整がまとまらなかった場合は従来どおり、2024年の大会のみ投票を行ってこの2都市から開催都市が選ばれることになります。

臨時総会の後に開かれた記者会見ではIOCのバッハ会長とパリとロサンゼルスの市長が同席し、そろって2つの大会を成功させたいという意欲を示したことなどから今後の調整は順調に進むものと見られ、9月の総会では、パリとロサンゼルスの2都市が2大会のいずれかを開催することが決まる見通しです。


バッハ会長「8月には合意目指す」

IOC=国際オリンピック委員会の臨時総会のあと、バッハ会長はフランスのパリとアメリカのロサンゼルスの市長とともに記者会見し、来月には、2024年と28年の2つの大会の開催都市の調整を実現したいという考えを示しました。

総会後に開かれた記者会見には、バッハ会長がパリのイダルゴ市長とロサンゼルスのガルセッティ市長とともに出席し、「総会の決定は、またとないすばらしいものだった。早速、話し合いを始めたい。3者が利益を得る形にできるだろう。8月には合意したい」と話し、期待感を示しました。

また、パリのイダルゴ市長が「歴史的な合意に至ることに自信がある」と話したのに対して、ロサンゼルスのガルセッティ市長も「24年大会と28年大会が成功するようパリとともに協力していく」と話しました。
2024年と28年の開催都市の調整について2つの都市がともに前向きな姿勢を示したことで調整は順調に進んでいく見通しです。


2024年大会 立候補の変遷

2024年の夏のオリンピックをめぐっては、IOC=国際オリンピック委員会が立候補の受け付けを締め切ったおととし9月には、アメリカのロサンゼルス、フランスのパリ、イタリアのローマ、ドイツのハンブルク、ハンガリーのブダペストの5つの都市の争いとなっていました。

しかし、おととし11月にハンブルク、去年9月にローマがそれぞれ巨額な開催費用がかかるなどとして次々と立候補を取り下げ、ことしに入ってからはブダペストも開催費用などを理由に招致から撤退しました。

この結果、2024年大会の招致は、パリとロサンゼルスの2つの都市のみで争われる異例の事態となりました。

一方、2028年の大会をめぐってはオーストラリアオリンピック委員会がブリスベンを軸に立候補を検討していることなどが地元のメディアで報じられていました。


同時決定の背景

IOC=国際オリンピック委員会が2024年と28年の夏のオリンピックの開催都市を同時に決める案を採択した背景には、巨額な費用がかかるなどとして招致を断念する都市が相次いでいたことがあげられます。

オリンピックの開催都市は、開催7年前のIOC総会で決まることになっていて、2024年の夏のオリンピックは、IOCが手続きにかかる費用の削減などを目指して掲げた改革をすべて反映して招致活動が進められる初めての大会となりました。

当初はアメリカのロサンゼルス、フランスのパリ、イタリアのローマ、ドイツのハンブルク、ハンガリーのブダペストが立候補しましたが、このうち、ローマ、ハンブルク、ブダペストの3都市が再び巨額の費用を理由に相次いで撤退し、2つの都市だけで争う異例の事態となりました。

こうした事態を踏まえてIOCのバッハ会長は、「時代の変化に対応するためには柔軟な考えが必要だ」と訴え、ことし3月に、作業部会を設けて開催都市の選考方法の見直しを進めてきました。

そして、招致にかかる費用を抑え、落選する都市を少なくできるという考えから2024年と28年の夏のオリンピックの開催都市について、立候補都市との調整がまとまれば同時に決めるという異例の措置に踏み切りました。


パリの開催計画

フランスのパリは1924年以来、100年ぶりのオリンピック開催を目指しています。エッフェル塔やヴェルサイユ宮殿、さらにセーヌ川など世界的な観光地の周辺に試合会場を設け、景観をいかした大会を目指す計画で、オリンピック施設の93%が既存や仮設となることから低コストの運用を実現できるとしています。

一方、新設する選手村の一部は、大会後は学校や商業施設、住宅からなる新しい複合施設に生まれ変わる計画です。
ただ、建設予定地となっている30%の民有地が取得の許可を得られていないとして、土地の獲得の面での課題をIOCから指摘されています。


パリ市民 歓迎の声

パリは1900年、1924年に続いて3回目の開催を目指していて2024年大会の開催都市に決まれば、ちょうど100年ぶりの節目の大会になります。

セーヌ川沿いには2024年の大会招致を目指す旗が掲げられているほか、高層ビルにはパリの招致委員会の巨大なシンボルマークが描かれています。
今回のIOCの決定についてパリ市民からは歓迎する声が相次ぎました。

パリでのオリンピックの開催を支持しているという女性は「スポーツは人々を団結させるので結束がいま何よりも必要なフランスにとってよいことだ、とてもうれしい」と話していました。
また中年の男性は「オリンピックを開催すればパリが活気づくのでとてもよいことだ」と話していました。
さらに別の男性は「パリにある多くの施設を利用できるしこうしたイベントは観光客の集客やビジネスにもつながる。将来どうなるか不透明なだけに開催は早いほうがよい」と話しパリはあくまで2024年の開催を目指すべきだと強調しました。


ロサンゼルスの開催計画

ロサンゼルスは1984年以来、40年ぶりのオリンピック開催を目指しています。ハリウッドやロングビーチの周辺など4つの地区で競技が行われ、会場の97%で既存や仮設を活用して費用を抑えるほか、大部分を民間の資金で賄う計画です。

具体的には、過去2回の大会で開会式が行われた競技場、「コロシアム」が陸上などの会場として使われるほか、カリフォルニア大学の学生寮を選手村にします。そのうえで過去10年間でオリンピックで実施される28競技のうち25競技で世界規模の大会を開催した実績も強みにあげています。その一方、観客の輸送手段についてはまだ努力が必要だとIOCから指摘を受けています。


ロサンゼルス招致委「夢かなう大きな一歩」

アメリカ・ロサンゼルスの招致委員会は、IOCの決定を受けて声明を発表しました。声明では、「きょうは、ロサンゼルスにとってとても誇らしい日となった。オリンピックを開催するという夢がかなうための大きな一歩となった、今回のIOCの決定にとても興奮している。素晴らしく、そして異なる提案を行った2つの偉大な都市は、オリンピックとパラリンピックの理念をさらに前へと進める準備ができている」とコメントしています。

ロサンゼルスでは今回のIOCの決定に対して歓迎の声があがっています。
サーフィンを楽しむためにビーチを訪れた男性は、「とても興奮しています。前回、1984年にロサンゼルスで開催されたときの施設がいまも残っているように、今回のオリンピックのために整備される施設で子どもたちもよりスポーツに親しむことができるようになると思います」と話していました。

また、9歳の娘と自転車で海沿いを走っていた男性は、「交通渋滞や建設工事、負債などの問題はあるが、それでもオリンピックを開催するというのは
楽しいことだと思います。娘は体操をやっているので選手たちはお手本にもなりますし娘と一緒にオリンピックを見るのを楽しみにしています」と話していました。


同時決定の意義と国内への影響

オリンピックに立候補した都市が巨額の費用を理由に撤退するケースが相次いでいるなか、IOC=国際オリンピック委員会は2つの大会の開催都市を同時に決めることで2都市だけで争うことになった24年大会に加え11年後の28年大会の開催も担保できる可能性が出てきました。

特に、現在立候補しているフランスのパリとアメリカのロサンゼルスはともに既存施設を最大限に活用するなど財政負担を抑える開催計画を示していて、この2都市での開催は、大会のコスト削減にもつながると見られています。

今回の決定は、オリンピックの安定した開催に向けてコスト削減を目指すIOCの姿勢を強く打ち出したものと言え、3年後の東京大会についてもコストを減らす要求は高まる見通しです。

さらに、札幌市が2026年大会の招致を検討している冬のオリンピックについても、IOCは臨時総会で招致段階での手続きを簡素化して費用を抑える新たなプロセスを導入することを決め、その効果も注目されます。

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