EUとのEPA交渉 大枠合意

2017年07月06日 04時12分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

日本とEU=ヨーロッパ連合のEPA=経済連携協定の交渉は、5日、ベルギーのブリュッセルで行われた閣僚協議で大枠合意に達し、GDP=国内総生産では世界のおよそ30%に及ぶ日本にとって最大規模の貿易協定が結ばれる見通しになりました。

日本とEUのEPAをめぐり、5日、EU本部があるベルギーのブリュッセルで、閣僚協議が開かれ、岸田外務大臣とEUで通商政策を担当するマルムストローム委員が大枠合意に向けて最終的な調整を行いました。

その結果、岸田大臣は日本時間の5日夜、記者団に対し、「先の閣僚協議で詰めることができなかった重要な論点を解決し、閣僚間で、大枠合意の達成を確認することができた」と述べ日本とEUのEPA交渉が閣僚協議で、大枠合意に達したことを明らかにしました。

これによって、TPP=環太平洋パートナーシップ協定からアメリカが離脱する中で、双方のGDP=国内総生産をあわせると世界のおよそ30%に及ぶ、日本にとって最大規模の貿易協定が結ばれる見通しになりました。

これについて岸田大臣は、「日本とEUのEPAは大規模な先進経済圏の間での、初めての経済連携協定となる。合意内容は世界に範を示すに足る包括的で、レベルが高く、バランスのとれたものだと自負をしている」と述べ、成果を強調しました。

一方、岸田大臣は、今回、閣僚間で合意した内容は、首脳会談で最終的な確認が行われるとして、具体的な合意内容は日本時間の6日行われる安倍総理大臣とEUのトゥスク大統領やユンケル委員長との首脳会談のあとに公表されるということです。

これまでの交渉で、最大の焦点となっていた乗用車やチーズについては、EUが乗用車の関税を7年で撤廃するほか、日本のチーズの関税は、国内の酪農家が今後、生産を維持拡大することにも十分配慮しながら、ヨーロッパのソフトチーズに一定の枠を設けて15年かけて撤廃することでほぼ合意したということです。また、ワインの関税は双方が即時に撤廃することになりました。

一方、日本酒にEUがかけている1リットル当たり最大およそ10円の関税の即時撤廃や、緑茶の関税の即時撤廃のほか、それに、日本からEUへの輸出が多い「ホタテ」にかかっている、11%の関税も一定の期間を経て撤廃することで合意され、今後、日本の食品についてもEUへの輸出拡大が期待されそうです。

EUにとっての意義

日本とEUのEPAが発効すれば、人口6億3000万余りの巨大市場での貿易がさらに活発になることが期待されます。

日本とEUの去年1年間の貿易額をあわせるとおよそ11兆7000億ドル、日本円でおよそ1330兆円と世界全体の貿易額のおよそ37%を占め、GDPの合計は世界全体の28%余りに当たります。

EUは日本とのEPAで日本への輸出が34%増え、EUのGDPを最大で0.76%押し上げる効果があると見込んでいます。

EUは活発な貿易が域内の企業の競争力を強化し、経済成長や雇用の拡大につながるとして、自由貿易の推進を掲げてきました。

歴史的に関係の深い中東やアフリカ各国をはじめ、韓国やカナダなど世界の91の国や地域との間で43の貿易協定を結んでいます。

現在もメキシコとの貿易協定の改定や、ブラジルやアルゼンチンなどで作るメルコスール=南米南部共同市場との間で協定の締結に向けた交渉を進めています。

先月開かれたEU首脳会議ではアメリカがTPP=環太平洋パートナーシップ協定から離脱するなど、保護主義的な姿勢を強める中、「保護主義と闘う」という文言を盛り込んだ文書を採択しています。

アメリカに次ぐ経済規模のEUは、4位の日本とのEPAで、自由貿易を推進する姿勢を改めて強調する狙いがあります。

EUは、日本との交渉では、一部でTPPの合意を上回る内容を求めてきました。EUとしてはより有利な条件を日本から引き出すことで、イギリスとの離脱交渉が続く中、加盟国に対しEUのメリットをアピールし、求心力を高めたいという思惑もあります。

EUの期待と懸念

EUは加盟国に農業国も多く、日本と大枠合意したEPAを通じて、食品や農産物の輸出が拡大することに期待しています。

ヨーロッパ産のワインやチーズ、スパゲッティ、チョコレートなどは日本でも人気が高い一方、EUによりますと、これらの品目の中には日本が30%前後の関税をかけているものもあるということです。EUとしては関税の撤廃や引き下げによって、日本市場でヨーロッパの農産品の価格競争力を強化したい考えです。

このうちチーズについて、EUは原則としてすべての関税を撤廃するよう求め、交渉の焦点の1つになってきました。EUのチーズの生産量は世界最大で、去年の輸出額は36億ユーロ、日本円にして4600億円余りと農産物ではワインなどに並ぶ主力の輸出品です。ヨーロッパではおととし、チーズの原料にもなる牛乳について、EUが生産を調整して価格を維持する制度を廃止したことなどから牛乳は供給過剰となり、価格の下落に抗議した酪農家が各地で抗議活動を行いました。このためEUは、牛乳の需要を増やせるチーズの輸出拡大に取り組んでいて、日本とのEPAの交渉でも力を入れてきました。

一方、日本とのEPAをめぐってEU側は自動車産業への影響を特に懸念しています。ヨーロッパの自動車メーカーで作る業界団体によりますと、EU域内で自動車産業に従事する人はおよそ1260万人で、雇用総数のおよそ6%に当たり、EUの経済を支える主要産業だとしています。EUに輸入される乗用車の中では日本からのものが最も多く、業界団体によりますと、去年はおよそ900億ユーロ、日本円で11兆5000億円余りで、乗用車の輸入額のおよそ24%を占めています。また台数では日本から輸入された乗用車は57万台余りで、EUから日本へ輸出される台数のおよそ2倍になっています。EUは日本の乗用車に10%の関税をかけてきましたが、7年で撤廃することで合意し、業界団体は日本からの乗用車の輸入がさらに増えることになると懸念を強めています。一方で、EU域内には日本の自動車メーカーの工場が14か所、研究・開発拠点は16か所あり、合わせて3万4000人が雇用されているということです。

このためEU側には、EPAが発効して貿易がさらに活発になれば、現地生産を行う日本メーカーの工場が増え、雇用も増える可能性があるという見方も出ています。

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