公立小中学校の教員数 全国で700人以上不足

全国の公立の小中学校の教員の数が、ことし4月の時点で定数より少なくとも700人以上不足し、一部の学校では計画どおりの授業ができなくなっていることがNHKの取材でわかりました。これまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足が要因と見られ、専門家は「国や自治体は早急に実態を把握し、対策を検討すべきだ」と指摘しています。


全国の公立の小中学校の教員は、国が学校ごとの児童や生徒の数に応じて毎年、定数を算出し、それをもとに各地の教育委員会が配置しています。

NHKが全国の都道府県と政令指定都市、合わせて67の教育委員会に教員の定数とことし4月の始業式の時点での実際の配置状況について尋ねたところ、全体の半数近い32の教育委員会で定数を確保できず少なくとも717人の教員が不足していたことがわかりました。

このうち福岡県内では担当教員の不在で技術や美術の授業をおよそ2か月間実施できない中学校があったほか、千葉県内では小学校の学級担任が確保できず教務主任が兼務する事態も起きています。

専門家によりますと、背景にはこれまで欠員を埋めてきた臨時採用の教員の不足があるということで、教員の配置に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は、「臨時採用など非正規の教員は雇用が不安定で給料が低く確保が難しい状況にある。国や自治体は早急に事態を把握し、採用計画を見直すなど対策を検討すべきだ」と指摘しています。


義務教育の授業に支障

臨時採用の教員不足で授業が出来なくなっている学校が相次いでいます。

関西地方の中学校では美術の教員が病気で休職し、学校は代わりの教員を教育委員会に求めましたが「とにかく見つからない」という回答が来たといいます。
その後、教員は見つかりましたがおよそ3週間にわたって別の教科に振り替えることになり、美術の授業ができなかったということです。

また、熊本県天草市の本渡中学校では、ことし5月に英語の教員が病気で休職したあと2か月近くたった今も代わりの英語教員が見つけられていません。
この中学校では昨年度まで、1年生の英語の授業でクラスを半分に分け少人数できめ細かい指導を行ってきましたが、今年度は教員が足りず大人数のままでせざるをえない状況です。
中学校は県の教育委員会に「臨時採用」の教員を要請しましたが、隣の県まで探してもらったり、ハローワークに求人を出してもらったりしても見つかっていません。
本渡中学校の岩崎宏保校長は「子どもたちの学力保証に大きく関わる問題だが、教員はなかなか見つからず非常に厳しい状況です」と話しています。


苦肉の策でしのぐ学校も

「臨時採用」が見つからず「特例制度」を活用した苦肉の策で教員を確保している学校もあります。

高知市の大津小学校では4月から産休に入った教員に代わり、幼稚園の教員免許しか持っていない教員を「臨時採用」として、音楽の授業を受け持ってもらう苦肉の策で急場をしのいでいます。

教員の免許は、幼稚園・小学校・中学校などにわかれていますが、この学校では、「いずれかの免許を持っていれば指導能力があることを条件に、3年間に限って免許の範囲を超えて指導できる」という法律で認められた特例制度を活用しました。
大津小学校の西尾豊子校長は、「教員がきちんと配置されていないと、十分な教育が提供できないので積極的に制度の活用に踏み切った。教員の絶対数が足りない中、のんびり構えている訳にはいかない状況です」と話しています。


文科省「教員の働き方改善を議論」

全国の小中学校で教員不足が相次いでいることについて、文部科学省の佐藤光次郎教職員課長は「最近、特に出産や育児などで休職する教員が増えていることもあり、臨時教員の確保が難しくなっている課題があることは受け止めている。子どもたちの学習環境を維持するために必要な教員を確保することは基本なので、国としてもしっかり対応しなければならない」と話しています。

そのうえで佐藤課長は、対策について「教員の仕事の負担が重かったり多忙になったりということがネックとなり、教員のなり手を十分に確保できていないことが背景にあると思う。教員の働き方は使命感や、やりがいと表裏一体だと思うので、それについてもどう改善していくか幅広く議論し、人が集まるような環境にしていきたい」と述べています。


専門家「国の予算増必要も」

また、教員不足の問題に詳しい慶應義塾大学の佐久間亜紀教授は「臨時教員を含め教員になりたいと思う人を増やしていくために、給料だけではなくて働き方や待遇を改善するなど各教育委員会や国は教員の魅力作りを進めていく必要がある」と指摘しています。

そのうえで、佐久間教授は「将来的には正規採用の教員を充実させていく必要があるが、国の予算が増えない中で各教育委員会の努力だけでは難しい状況がある。自治体の裁量の範囲では格差が出てしまう問題でもあるので、国の支援、対策は欠かせない」と述べ、将来的には国が予算を増やすなどして教員採用の在り方自体を見直していく必要があると指摘しています。

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