大手企業の採用面接がスタート 就職活動はヤマ場に

2017年06月01日 15時08分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

来年春に卒業する大学生らを対象にした大手企業の採用面接が1日に解禁され、学生の就職活動はヤマ場を迎えています。

大手企業の採用面接は経団連の指針に基づいて1日に解禁され、多くの企業でリクルートスーツの姿の学生が面接に臨んでいます。このうち大手損害保険会社の「三井住友海上火災保険」は、東京・千代田区の会場で採用面接を行っていて、学生が志望動機を説明したり、自分の長所をアピールしたりしていました。

ことしの就職活動は人手不足を背景に企業の採用意欲が高く、学生優位の売手市場が続いています。このため、企業の間では優秀な学生を確保しようと、「働き方改革」の成果を学生に訴える動きが広がっていて、この保険会社でもことし4月から原則、午後7時までに退勤するルールを導入するなど、労働時間の短縮に取り組んでいるということです。

また、地方の学生にもできるだけ多く志望してもらおうと、ことしは会社説明会を東京と大阪だけでなく仙台など8つの地域で実施したということです。採用を担当する保坂宇衣さんは、「働き方改革で生産性が高く内容の濃い仕事を行う会社だとPRしている。最終面接の後も社員訪問を増やすなど、本人がしっかり考えて学生に当社を選んでもらえる工夫をしていく」と話していました。

学生たちは…

都内の私立大学に通う4年生の男子学生は、「働き方改革は非常に注目しているポイントで、会社を志望するときの理由にもなっている。志望する企業に評価してもらえるよう自分の精いっぱいを出していきたい」と話していました。

また、都内の私立大学4年生の女子学生は、「求人は多いと思うが、自分がやりたい仕事につくのは簡単ではないと実感している。売手市場だから、とても楽だと感じはしていません。すごく緊張しているが、後悔のないように自分らしさを出していきたい」と話していました。

テレビ電話で採用面接

仙台市の大手生活用品メーカーはできるだけ多くの学生に採用面接を受けてもらおうと、テレビ電話を使った面接を始めています。

テレビ電話を使った面接を始めたのは仙台市に本社を置く大手生活用品メーカーの「アイリスオーヤマ」です。

この会社では来年春にことしより60人ほど多い300人を採用する計画ですが、ことしの就職活動が学生に有利な「売手市場」となる中で、面接会場に向かう移動時間などの負担を軽くし、少しでも多くの学生に採用面接を受けてもらおうと、ことしからこうした取り組みを始めました。

先月30日には、大阪市にある事務所の会議室と那覇市の大学をテレビ電話で結んで面接が行われました。

面接を受けた学生はインターネットを通じて申し込んだということで、会社の採用担当者が画面に映し出された学生に向かって、志望動機や学生時代に取り組んだことについて質問していました。

この会社ではこれまでに北海道や九州など合わせて11人の学生を対象にテレビ電話を使った面接を行ったということです。

アイリスオーヤマ人事部の倉茂基一統括マネージャーは「『超売手市場』の中で、距離が離れているから受験を諦めるという学生を極力減らしたいという思いでこのシステムを導入しました。さまざまな方法で強みを持つ学生を採用し、今後の事業展開につなげていきたい」と話していました。

先手内定で人材確保の中小企業も

経団連に加盟していない中小企業の中には大手企業に先がけて採用の内定を出すことで優秀な人材を確保しようというところがあります。

東京・墨田区のタクシー会社では、ことし採用予定の20人のうち、4月から1日までに7人の学生に内定を出しました。

大手企業の面接が解禁された1日も2人の学生を対象に最終面接を行い、採用の担当者が他社の内定や面接の状況などを聞いたあと入社の意思があるか確認していました。

この会社では大手企業に流れないよう、内定を出したあと入社の意思が固まった学生には承諾書にサインしてもらいつなぎとめを図っています。

最終面接に臨んだ男子大学生は「当初は大手しかないと思い込んでいましたが、中小企業が就職の幅を広げ採用を行っていてありがたいと感じました。人と接する仕事が好きなので内定したらぜひ働きたい」と話していました。

また、この会社では若い人材の採用につなげようと、輸入車のタクシーや車体に少女のキャラクターをラッピングした「痛車(いたしゃ)タクシー」と呼ばれるタクシーを運行し、若者が集まるイベントでも展示しています。

さらにフェイスブックやツイッターで社員が毎日、働きがいや仕事の魅力を発信しているほか、給料も大手企業の初任給並みになっていることを伝えるなど人材の確保に懸命です。

内定の承諾書を提出した男子大学生は「おもしろい取り組みをしている会社で車の運転も好きなので、この会社に決めました。早く内定をもらえて安心しています」と話していました。

互助交通の中澤睦雄専務取締役は「大手企業に負けず1人でも多くいい学生を採りたいが無理強いではなく学生にとって魅力ある働き方ができる会社になることがいちばん大事だと考えている。タクシーという仕事に関心を持ってもらえるよう大手にはできないブランドを作り上げ、採用につなげていきたい。採用数も年々増え、手応えを感じている」と話していました。

人手不足の観光業界 海外からも採用

学生優位の売手市場が続く中、外国人観光客の増加で人手不足が深刻化している観光業界では、国内では学生を確保しきれないとして海外に活路を求める動きも出ています。観光庁によりますと、去年1年間に国内で宿泊した外国人の数は延べ7000万人余りと、10年前のおよそ3倍に急増しています。

このため、厚生労働省によりますと、旅館やホテル業などのことし4月の有効求人倍率は3.74倍と、3倍を超える水準が続いていて、全国的に人手不足が深刻になっています。

全国有数の温泉地・神奈川県箱根町にある従業員127人の「ホテルおかだ」では長年、東北など地方を中心に採用活動を続けてきましたが、最近は15人の募集定員を確保できない状態が続いています。このため繁忙期には、従業員が足りないために部屋が空いていても予約を受けられないこともあるということです。

こうした状態を打開しようと、ホテルではことしから新たに大手就職情報サイトに登録し、全国に募集を広げました。さらに3年前からは採用の担当者が台湾に出向いて直接、学生を獲得する取り組みを進めています。ことし3月にも担当者が台湾の2つの大学を訪問して、観光などを専攻する学生と面談し、日本やホテルで働く魅力を伝えて勧誘しました。

こうした結果、去年、初めて女性1人を採用し、現在、学生1人がインターンシップとして働いています。台湾の学生は中国語に加えて日本語や英語も話すことができる人が多く、客からの評判もよいということで、ホテル側は即戦力として期待しています。

インターンとして働く邱莉娟さんは、「先生にも勧められてよい機会だと考えています。日本語が好きなので働くことは楽しいです」と話していました。ホテルおかだの原洋平営業部長は、「安定的に雇用を確保するのは今後も厳しい状態が続くと考えられるので、国内の大学などとの関係は保ちつつ、台湾の大学とも信頼関係を築いていって、人材の獲得を進めたい」と話しています。

売手市場でホワイト企業指向

就職情報会社によりますと、ことしも人材不足などを背景に学生優位の売手市場が続いているということです。また、いわゆる「ブラック企業」や電通の新入社員の過労自殺の問題などを受け、企業の間では残業時間の是正や有給休暇や育児休暇の取得など労働環境の向上をアピールし、人材を確保しようとする動きが広がっているということです。

就職情報会社「ディスコ」の武井房子上席研究員は、「学生はいわゆるブラック企業ではない、ホワイト企業に入りたいという気持ちが強く、中小企業も福利厚生について積極的に働きかけている。一方、学生の中には大企業のほうが安定して働きやすいというイメージがあり、興味を持ってもらえない中小企業も多い。企業はやりがいなど仕事面もしっかりとアピールして、関心を持ってくれた学生に丁寧に説明していくことが必要になる」と話していました。

大学生の就職内定率大幅に上昇

学生に有利な売手市場が続く中、来年春に卒業する大学生の就職内定率は、去年よりも大幅に上昇しています。

人材サービス会社の「リクルートキャリア」が行ったアンケート調査によりますと、来年春に卒業する大学生の就職内定率は、先月1日の時点で35.1%でした。

これは、去年の同じ時期を10.1ポイント上回って3人に1人がすでに内定を得ていることになります。また、大学生の就職活動の終了予定の時期を調べたところ、内定がすでに出たり内定の見込みがあることから「今月中に終える」という学生が最も多くなっています。

1日の解禁にしばられないベンチャー企業や外資系企業、中小企業では、少子化による人手不足への懸念などから優秀な人材を早く確保しようと採用スケジュールを前倒しする傾向が強まっています。

※プログラムでふりがなをけっているので、 間違まちがっている場合ばあ いもあります。