次世代のエネルギーとして注目されている燃料電池の普及を目指そうと、ロックバンドの「LUNA SEA」が29日夜に武道館で開いたライブで、電源の一部に燃料電池を取り入れ、環境に優しいエネルギーの大切さをアピールしました。


このライブは、「LUNA SEA」のギタリストで、環境問題に高い関心を持つSUGIZOさんの発案で実現しました。

燃料電池は水素と酸素によって発電し、二酸化炭素が発生しないため、環境に優しい次世代のエネルギーとして注目されています。

東京・千代田区の日本武道館には、燃料電池で走る市販の乗用車が用意され、2時間半のライブ全編にわたり、この車から、SUGIZOさんが弾くすべての楽器に電気が供給されました。また、燃料の水素も太陽光発電で作ったということで、SUGIZOさんがステージから「きょうは水素の恩恵にあずかりました」とアピールすると、会場に詰めかけたおよそ1万4000人のファンから大きな歓声が起きていました。

ライブを聴いた30代の女性は「取り組みはツイッターで知っていましたが、水素で楽器の電気が賄えるなんて驚きです。水素エネルギーを少し身近に感じました」と話していました。

ライブを終えたSUGIZOさんは「好きな音楽を奏でて生きていられることを何らかの形で恩返ししたいと、この取り組みを始めました。ゆくゆくはバンド全員の音や照明も水素や再生可能エネルギーで賄えれば、ステージ表現とエネルギー文化の新しい一歩になると思います」と話していました。


入念にリハーサル

今回の武道館ライブは、およそ2時間半。前例のない取り組みだけに、ライブに必要なすべての電気を燃料電池で賄うと、予想外の事態が起きかねないと、今回は実験的にSUGIZOさんの弾く楽器に絞ることにしました。

電源として使うのは燃料電池で走る自動車で、建物の外に止めた車から電気を取り出し、およそ100メートルのケーブルを通じて、ステージの脇にある電源装置に送ります。

万が一、ライブ中に電気が供給できなくなると、演奏が台なしになってしまいます。開演前のリハーサルでは、担当者がステージ脇のモニターで電気がきちんと供給されているか入念に確認していたほか、SUGIZOさんも実際にギターを弾きながら客席を歩いて回り、音をチェックしていました。

今回使われた燃料電池車は、水素を満タンにした状態で、一般家庭が消費するおよそ1週間分の電気を賄うことができるということです。


水素エネルギーの現状と課題

燃料電池は、内部に蓄えた水素と空気中の酸素を化学反応させて発電します。発生するのは水だけで、環境にやさしいエネルギーとして注目されているほか、燃料の水素を太陽光発電などの再生可能エネルギーから作れば、エネルギー自給率の向上にもつながると期待が寄せられています。

その一方で、資源エネルギー庁によりますと、高い価格や、インフラの整備が進んでいないこと、それに知名度不足などが、普及に向けた課題と指摘されています。
現在、燃料電池車と家庭用燃料電池が実用化されていますが、例えば燃料電池車の場合、1台およそ700万円するほか、水素を供給する「水素ステーション」は全国で100か所もありません。

国は2020年までに、燃料電池車をおよそ4万台、家庭用燃料電池をおよそ140万台普及させる目標を立てていて、こうした課題がどこまで解消できるかが行方を左右すると見られています。

イージー・ニュース

コンサートのギターに水素すいそ酸素さんそからつくった電気でんき使つか