長崎県の五島列島沖の水深200メートル付近で、海底に垂直に突き刺さった状態の潜水艦など、旧日本軍の潜水艦合わせて24隻の姿を、海底探査を専門とする民間の調査チームが音波探知機で捉えました。調査にあたった専門家は「旧日本軍の潜水艦については詳しい図面がほとんど残されていないため、検証も進んでおらず、貴重な戦争遺産だ」と話しています。


調査を行ったのは、海底探査が専門の東京大学の浦環名誉教授などで作る民間のチームで、今月19日から21日にかけて、長崎県の五島列島沖の東シナ海で調査を行いました。
その結果、海底に垂直に突き刺さったり、海底に横たわったりしている24隻の潜水艦の姿を音波探知機で捉えたということです。

この海域では、太平洋戦争の終戦の翌年、1946年4月にGHQ=連合国軍総司令部によって、旧日本軍の潜水艦合わせて24隻を海に沈める処分が行われていて、調査チームは、今回確認された24隻の潜水艦は、GHQによって処分された潜水艦だとしています。

調査チームでは、このうち1隻について、「伊402」という名前の潜水艦だと特定し、残りの潜水艦については、これから順次名前の特定を進めたいとしています。

この海域では、2年前に海上保安庁が行った調査でも、潜水艦と見られる24の船の影が確認されていました。

調査チームの代表を務める、東京大学の浦名誉教授は記者会見で、「旧日本軍の潜水艦をめぐっては、性能や機能がわかる図面がほとんど残っておらず、戦争の歴史を記録するという観点でも詳しい検証が行われていない。今回確認された24の潜水艦は、旧日本軍のありのままの姿を知ることができる貴重な戦争遺産だ」と述べました。

調査チームでは、ことし8月にも探査機を沈めて、一部の潜水艦について、より詳しい調査を行いたいとしています。さらに調査チームでは、戦争の遺産として展示できるように、一部の潜水艦について引き上げが可能か検討したいとしています。


2年前より近づけて調査

2年前に海上保安庁が調査した際には、船の底に取り付けた音波探知機で、水深200メートル付近を見下ろすような形で探査が行われました。今回は、船から音波探知機を水深150メートル付近までつり下げ、より近くから、横から見るような形で探査が行われました。


ほとんど残されていない潜水艦資料

調査チームによりますと、旧日本軍の潜水艦をめぐっては、建造当初の外観については設計図が残っているものの、内部の構造や機能に関する図面はほとんど残されていないということです。
また、旧日本軍の潜水艦では、戦時中、攻撃性能をより高める改造が行われたとされていますが、どのような改造が行われたのかを記録した図面はほとんど残されていないということです。


「探査技術を歴史知る調査にも」

調査チームの代表を務める東京大学の浦環名誉教授は、およそ40年にわたり、海底探査機の研究開発に携わってきた第一人者です。内閣府が設けている海底資源調査のプロジェクトに中心的に携わっているほか、国の海洋政策を話し合う会議で参与も務めています。

浦名誉教授は、潜水艦の調査を行うことにした理由について、「日本の海底探査の技術力は、この10年から20年で格段に高まっていて、以前は難しかった探査も、今は比較的容易にできるようになっている。こうした技術は今、資源探査に用いられているが、歴史を知る調査にも生かせると思った」と話しています。
そのうえで、浦名誉教授は「今回、確認した潜水艦は、戦争当時のようすをありのままに残している。戦争当時の状況を詳しく知り、検証することは、世界平和を実現するうえで欠かせないことだと思う」と話しています。

イージー・ニュース

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