福井 高浜原発4号機が再稼働

2017年05月17日 17時03分 NewsWebEasy
仮名がなレベル

福井県にある高浜原子力発電所4号機は、17日午後5時に原子炉を起動する操作が行われ、再稼働しました。これで国内の稼働中の原発は、鹿児島県の川内原発と愛媛県の伊方原発と合わせて4基になりました。

福井県高浜町にある高浜原発4号機は、午後5時に運転員が中央制御室で核分裂反応を抑える制御棒を核燃料の間から引き抜くためのレバーを操作して原子炉を起動し、再稼働しました。

使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」を使うプルサーマルという方式で発電します。

起動からおよそ13時間後の18日午前6時ごろ、核分裂反応が連続する「臨界」の状態になり、関西電力は今月22日に発電と送電を始め、徐々に原子炉の出力を高めたうえで、来月中旬に営業運転に入る計画です。

これで全国で稼働中の原発は、鹿児島県の川内原発の2基と愛媛県の伊方原発の1基と、合わせて4基になりました。

高浜原発4号機をめぐっては、去年2月の再稼働の3日後、発電と送電を始める作業の際に原子炉が自動停止するトラブルが起き、その後、裁判所の運転停止を命じる仮処分の決定で、3号機とともに運転できない状態が続きました。この決定はことし3月に取り消され、4号機が再稼働するのは1年3か月ぶりで、関西電力は慎重に作業を進めることにしています。

関西電力の岩根茂樹社長は「原子炉起動は運転再開の中でも重要なステップの1つであると考えている。今後も引き続き、国の検査に真摯(しんし)かつ丁寧に対応するとともに、今一度、身を引き締めて安全最優先で緊張感をもって慎重に作業を進めてまいります」とコメントを出しました。
関西電力原子力事業本部の大塚茂樹副事業本部長は福井県高浜町で会見し「原子炉を起動したことで、安全最優先で今後原子炉を運転していかなければならないとの緊張感が高まっている」と述べました。そのうえで、クレーンが倒れる事故やトラブルが相次いだことについて「協力会社への関西電力の関与とチェック、そしてリスク管理体制の3つについて、抜けがないよう緊張感をもって運転をすることが第一だと思っている。何かあれば、しっかり情報公開し対応していきたい」と述べました。

高浜原発 経緯と課題

高浜原発4号機は2度にわたって司法の判断で再稼働ができない状態となりました。おととし4月には、福井地方裁判所が「国の新しい規制基準は緩やかすぎて、原発の安全性は確保されていない」などとして、再稼働を認めない仮処分の決定を出しました。決定を出した福井地裁の裁判長は、その前の年に、同じ関西電力の大飯原発3号機と4号機について再稼働を認めない判決を言い渡していました。
関西電力の異議申し立てを受け、福井地方裁判所は、別の裁判長が審理を行った結果、おととし12月、「新しい規制基準の内容と審査の判断は合理的で、住民の生命が脅かされる具体的な危険は認められない」などとして、4月の仮処分を取り消し、再稼働を認めました。
その後、高浜原発4号機が一度再稼働したあとの去年3月、今度は福井県に隣接する滋賀県の大津地裁が「福島の原発事故を踏まえた事故対策や津波対策、避難計画についても疑問が残る。住民の生命や財産が脅かされるおそれが高いにもかかわらず、関西電力は安全性の確保について説明を尽くしていない」などとして、運転の停止を命じる仮処分の決定を出しました。この仮処分の決定は、ことし3月、大阪高等裁判所が取り消し、再稼働を認めました。決定では「福島第一原発の事故は一部未解明な部分が残されているものの、原発の安全性が欠如しているとは言えない」「避難計画などの災害対策についてはいまだ改善の余地があるが、取り組みの姿勢や具体的な内容は適切で、不合理な点があるとは認められない」などとしています。

事故やトラブルもありました。去年2月、一度再稼働した際には、準備作業中に原子炉建屋の隣にある建物で、原子炉から循環している放射性物質を含む冷却水およそ34リットルが漏れるトラブルがありました。配管の弁を固定するボルトの一部が緩み、隙間が出来ていたことが原因でした。再稼働の3日後の発電と送電を開始する際には、設定された値を超える電流が流れて原子炉が自動停止するトラブルが発生しました。異常な電流を検知する機器の設定に問題があったためでした。また、ことし1月の強風で大型のクレーンが倒れ、2号機の核燃料を保管する建物の一部が損傷した事故では、関西電力が元請け会社に対しクレーンを折り畳むといった転倒を防ぐ対策を求めていなかったことが保安規定違反と指摘されました。こうした事故やトラブルに対し、原子力規制委員会や福井県はそのつど安全対策の徹底を求めています。原子力規制委員会の田中俊一委員長は17日の記者会見で「小さなトラブルも起きないよう十分に注意してもらい、そういう積み重ねでしか住民の信頼を得ることはできないということを重く受け止めてほしい」と述べました。

周辺地域の防災面の課題もあります。原発の30キロ圏には福井・京都・滋賀の3つの府県が含まれ、事故が起きた際、およそ18万人が避難や屋内退避の対象になります。国や福井県などは住民が県境を越えて避難する広域避難の計画を作りましたが、事故と同時に自然災害が起きた場合や、大雪の場合、それに夏場の海水浴シーズンなどでも、計画の実施を判断するための放射線量のモニタリングや住民の避難を速やかに行う必要があります。国は、複数の避難経路の確保やモニタリング体制の充実など改善を図るとしていますが、その実効性が課題になっています。

福井県では

福井県の西川知事は「重要なことは、関西電力および関係者全員が、クリアした規制基準をもとに、原子力発電所の安全な運用に最大限の注意を払い、実績を重ねることにより国民理解を得ていくことである」とするコメントを出しました。

地元、高浜町の野瀬町長は「司法の判断などもあり、時間はかかったが、再稼働にようやくこぎ着けられ、地元として安どしている。3号機の再稼働の手続きも進んでいるので、関西電力には緊張感を持って対応してほしい」と話していました。

高浜町の70歳の男性は「原発の再稼働は、仕事が増えるなど地元にとっては大歓迎ですし、ありがたいです。原発をずっと止めたままにしておくのはもったいないです」と話していました。
80代の女性は「原発が再稼働すると事故やトラブルの危険が出てくると思います。福島第一原発事故の被害者のことを考えると再稼働には反対です」と話していました。
原発に近い音海地区に住む76歳の女性は「再稼働するのはいいですが、原発で重大な事故が起きると、音海地区は半島にあるため、船などを使わないと避難できないです。速やかに避難できるよう行政にはきちんと取り組んでほしい」と話していました。

高浜原発の前では再稼働に反対する住民らがデモ行進を行い、関西電力に即時の廃炉を申し入れました。デモ行進を行ったのは高浜原発の再稼働に反対する市民団体のメンバーなどで、地元の住民だけでなく京都府や滋賀県などからおよそ70人が集まりました。参加した住民らは原発反対を訴えるのぼり旗やプラカードを手に「再稼働反対」などと声を上げながらデモ行進しました。
そして、高浜原発のゲート前で応対した関西電力の担当者に再稼働の中止と即時廃炉を求める申し入れ書を手渡しました。市民団体のメンバーで高浜町に住む東山幸弘さんは、「高浜原発では大型クレーンが倒れる事故が起きていますが、関西電力から地元の住民に事故についてのきちんとした説明もされていません。原発の周辺でも大きな地震が起きる可能性も否定できないと思うので、再稼働には反対です」と話していました。
市民団体の代表を務める京都市の木原壯林さんは「高浜原発の運転をすぐに止めることができるとは考えていませんが、再稼働反対と訴え続けることが事故やトラブルの防止につながると思う」と話していました。

滋賀県では

滋賀県の三日月知事は「滋賀県は、万一原子力災害が発生した際、影響を受ける可能性がある。実効性のある多重防護体制の構築は道半ばで、県民に原発への不安感が根強く残る現状では、再稼働を容認できる環境にない。多くの国民が原発に依存しないエネルギー政策を求めている現状を踏まえ、中長期的なエネルギー政策に関する国民の合意形成が図られるべきだ」というコメントを出しました。

大津市の越市長は「福井県の原発で事故があった場合は大津市にも被害や影響が出ると危機感を持っている立場から、再稼働には反対だ。福島の事故後、市民が不安に思っている状況での再稼働は許されない」と述べて、再稼働反対の立場を改めて強調しました。

大津市の60代の主婦は「滋賀県には関西の水がめであるびわ湖もあるので、再稼働には絶対反対です。命や健康、それに子どもたちの将来を考えると、電気料金や電力コストを優先することはできません」と話していました。
70代の男性は「原発に頼るのではなく、環境に配慮したエネルギー政策を推進してほしいです。ただ、再稼働に反対するならば、私たち自身も徹底した省エネの工夫をする必要があるのではないか」と話していました。
20代の女性は「地震などの災害で原発がどういった影響を受けるのかよくわからず、身近な問題として受け止められない。自分に直接影響はないと感じているので、電力不足や電気料金など自分の生活に関わる問題として見ると、再稼働は必要だと思う」と話していました。

高浜原発3号機と4号機について、おととし、運転の停止を求める仮処分を申し立て、今も裁判を続けている滋賀県の住民などのグループは、大阪市にある関西電力の本店前に集まり、「高浜原発再稼働反対」と書かれたのぼりを掲げ、「福島の事故を忘れるな」などと訴えて、再稼働に抗議しました。
住民グループの代表で滋賀県長浜市に住む辻義則さん(70)は「運転停止の仮処分を認めなかった司法の判断と、滋賀県の住民の意見を聞かず、経営方針として再稼働に踏み切った関西電力に怒りを感じている。これからも関西や福井の人たちとともに抗議を続け、運転停止を求める裁判は続いているので、係争中の裁判の中で原発の危険性を主張していく」と話していました。

京都府では

京都府舞鶴市は市のほぼ全域が原発から30キロ圏内にあります。
舞鶴市の73歳の男性は「原発があるなら再稼働させたほうがよいと思う。また電気料金が安くなったり、雇用も生まれたりすることを期待したい」と話していました。
33歳の女性は「再稼働すれば電気料金が安くなったりするようですが、大地震が起きても本当に安全なのか心配です。再稼働させないのが一番安全だと思います」と話していました。
42歳の男性は「社会全体のことを考えると再稼働はよくないと思いますが、原発関係で働いている人もたくさんいるので、しかたがないと思います」と話していました。

高浜原発から5キロ以上離れていながらも、道路事情の悪さなどから直ちに避難しなければならない「準5キロ圏」と呼ばれる地域があり、地震などの複合災害で孤立した場合の対応が課題になっています。地域の住民からは、避難ルートがまだ十分に確保されておらず不安だとして、再稼働は時期尚早ではないかという声も聞かれました。
高浜原発からおよそ8キロ離れている京都府舞鶴市の成生地区は、大浦半島の北端にあり、陸路で避難するにはいったん原発に近づく唯一の道路を使わざるをえず、「準5キロ圏」に指定されています。
25世帯56人が生活していて、去年8月に行われた大規模な避難訓練では、地震による土砂崩れなどで道路が通れなくなったため、地区の漁港から避難することが想定されました。しかし、強い風と波のために船での避難は危険と判断され、訓練は中止となりました。
成生地区に住む中川典幸さん(62)は「地区から外に出る道路は1本しかないうえ、冬は海が荒れて船が出せないことも考えられるだけに、不安を感じる。避難訓練をクリアしてはじめて避難ルートが確保できたと言えると思っており、そういった意味では原発の再稼働は時期尚早ではないか。行政にはより確実な避難ルートを確保したうえで、訓練を行い、住民が安心できる状況を作ってほしい」と話していました。

高浜原発 今後は

高浜原発4号機は、18日午前6時ごろに核分裂反応が連続する「臨界」と呼ばれる状態になり、今月22日には発電と送電を開始する計画です。その後、徐々に原子炉の出力を上げて、今月25日には出力が100%のフル稼働の状態にしたあと、設備全体の機能を確認する国の検査を受けます。検査で問題がなければ来月中旬に営業運転に入り、来年夏ごろに定期検査に入る予定です。

また、3号機について関西電力は、16日、原子炉に核燃料を入れる作業を終えていて、来月上旬に再稼働させるとしています。

このほか、1号機と2号機は、運転開始からすでに40年が過ぎ、福島第一原発の事故後に導入された制度のもとで、去年、運転の延長が認められていますが、関西電力は、安全対策に必要な追加工事に時間がかかることから、実際の再稼働は2年から3年後になるとしています。

たび重なる電気料金の値上げによって、関西電力では、家庭向け、企業向けともに顧客離れが進んでいます。関西電力の昨年度1年間の電力販売量はおよそ1215億キロワットアワーと、記録が残る昭和38年度以降初めて中部電力を下回りました。関西電力は、高浜4号機に続いて3号機の営業運転を始めることし7月以降に電気料金を値下げする方針で、顧客離れを食い止めたい考えです。

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